耐震等級3の家は本当に意味があるの? よくある後悔例やメリットを解説  

皆さんこんにちは。愛知県豊橋市を拠点に、東三河地区や静岡県西部で戸建て注文住宅の建築やリフォーム・リノベーション、増改築工事、塗装工事などを手掛けているBooker's Home(ブッカーズホーム)です。


広く知られている通り、日本は非常に地震の多い国です。家づくりの際には、できる限り耐震性能を高める必要があります。そして、耐震性能の基準となるのが「耐震等級」です。


この耐震等級は、1~3の3段階がありますが、「一般住宅を耐震等級3にする意味があるのか?」という意見もしばしば聞かれます。実際のところ、一般住宅も耐震等級3にした方がいいのでしょうか? ここでは、耐震等級1~3の違いや、耐震等級3の家にした時のありがちな後悔例、耐震等級3のメリットについて解説します。




■そもそも耐震等級3は必要?


広く知られている通り、日本は非常に地震の多い国です。家づくりの際には、できる限り耐震性能を高める必要があります。そして、耐震性能の基準となるのが「耐震等級」です。

「数百年に一度」のはずの巨大地震が、平成の間だけでも何度も襲ってきた以上、「次」がいつ来ても不思議ではありません。平成の間だけでも、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など、巨大地震が何度も発生しています。


「次」がいつ来るかわからないからこそ、耐震等級3の建物で、地震に備えておくことが大切です。

また、今後30年以内で規模の大きな地震は必ず起こるといわれています。家づくりの際には、できる限り耐震性能を高める必要があります。


このような状況を考えると、近年住宅を建てる際にデザインばかり気にする人もいるかもしれませんが、そこだけに注力している場合ではありません。

耐震性を軽視することは、自己と家族の安全を危険にさらすことになりかねません。デザインは重要ですが、それと同じくらい耐震性も考慮すべきなのです。




■耐震等級とは? 耐震等級1・2・3は何が違うの?



耐震等級とは、建物の耐震性能(地震に対する強さ)を表す指標の1つです。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」と、それに基づく「住宅性能表示制度」に沿って制定されました。


耐震等級は、第三者の専門家である「住宅性能評価機関」が、基準に従って評価を行うことで決められます。耐震等級を見れば、専門知識がない方でも住宅の耐震性能がわかるので、安心して住宅を購入できるというわけです。


そして、耐震等級は1・2・3の3ランクに分けられており、数字が大きいほど耐震性能が高いことを示しています。各ランクが具体的にどの程度の地震に耐えられるのかを確認しておきましょう。



・耐震等級1(建築基準法レベル)

耐震等級1は、極めて稀に発生する(数百年に1回程度)大地震でも倒壊・崩壊しない程度の耐震性能です。具体的には、震度6強~7の地震を想定しており、阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震などでも倒壊しないことを意味しています。


ただし、あくまでも「即時倒壊しない」レベルでしかない点に注意が必要です。被災時に命を守ることはできますが、その後も住み続けるのは困難である可能性があります。


なお、耐震等級1は、建築基準法で定められている最低限の耐震性能と同等の強度です。つまり、現行の建築基準法に基づいて建てられた建物は、最低でも耐震等級1が確保されていることになります。いわゆる旧耐震基準(1981年5月31日までの基準)で建てられた建物は、耐震等級1を満たしていない可能性があるのでご注意ください。



・耐震等級2

耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の耐震性能です。より大きな地震に耐えることができるため、災害時の避難場所となる学校や病院といった公共施設は、必ず耐震等級2以上を確保するよう定められています。

耐震等級1に比べると確実に安全性が高まりますが、それでも巨大地震に複数回見舞われると、住み続けるのが困難になる可能性があります。



・耐震等級3

耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震性能です。住宅性能表示制度で定められた等級の中では最高で、消防署や警察署など、災害時の救護活動や復興の拠点となる施設は、耐震等級3を確保するよう定められています。また、耐震等級3の建物は、複数回大地震に見舞われたとしても、修繕すれば住み続けることができます。

また、「長期優良住宅」に認定されるための条件でもあります。



■耐震等級3の家にする時は注意! ありがちな後悔例


耐震等級3の家なら、地震に怯えず安心して住めるのは間違いありません。一方、耐震等級3の家を作る時は、いくつか注意しなければならない点があります。失敗を避けるためにも、ありがちな後悔例を確認しておきましょう。



・実は耐震等級3「相当」だった

最も注意が必要なのは、「耐震等級3」ではなく「耐震等級3相当」というケースです。「相当」というのは、ハウスメーカーや工務店の自社計算で「耐震等級3レベル」と判断しているものの、住宅性能評価機関で認定を受けてはいないことを意味しています。


「認定を受けていなくても、性能が同じくらいなら構わないのでは?」と思うかもしれませんが、話はそう単純ではありません。なぜなら、「耐震等級3相当」は第三者による評価を受けていないので、本当に耐震等級3の基準を満たしているのかわからないからです。簡単な壁量計算しか行わないなど、明らかに不適切なケースも散見されます。


また、「耐震等級3」を取得すると、地震保険の割引や住宅ローンの特別優遇といった金銭的なメリットが得られます(詳しくは後述)。しかし、認定を受けていない「耐震等級3相当」では、これらの優遇措置が受けられないのです。「耐震等級3」と「耐震等級3相当」では、まったく意味が違うことを理解しておく必要があります。



・間取りが制限された

耐震等級3を取得するためには、耐力壁を増やしたり柱や梁を太くしたりして、家の強度を十分に高める必要があります。結果として、間取りが制限されてしまいがちです。間取りの自由度が高い工法で作る場合も例外ではありません。大きな窓や吹き抜け、柱や壁のない広い空間などは、実現が難しいケースが多いので注意が必要です。



・申請費用や追加の工事費用がかかった

耐震等級3を取得しようとすると、申請のためにいろいろな費用がかかります。たとえば、性能表示計算の費用として約10万円、許容応力度計算の費用として約20万円などです。また、強度を上げるために耐力壁や建築金物を増やす都合上、部材費や施工費が多くかかる場合もあります。


耐震等級3を標準仕様にしているハウスメーカーや工務店なら、これらの費用は最初から含まれています。それ以外の会社で耐震等級3の家を建てたい場合は、40万円~50万円程度の追加費用がかかると考えておきましょう。

命にかかわることであるため、費用だけであきらめずに、耐震等級を取得することを検討しましょう。


■耐震等級3を取得するメリット



耐震等級3の家にはいくつか注意点があり、後悔するケースもあるのは確かです。しかし、それ以上にメリットが大きく、多くの場合は耐震等級3が推奨されます。耐震等級3を取得するメリットを見ていきましょう。



・巨大地震が来ても安全で、同じ家に住み続けられる

耐震等級3を取得する最大のメリットは、震度7クラスの巨大地震にも十分耐えられ、なおかつ同じ家に住み続けられることです。耐震等級1では、倒壊・崩落を防いで命を守れたとしても、建物の損傷が大きく建て替えないと住めないかもしれません。しかし、耐震等級3の家なら、ちょっとした補修程度で住み続けられる可能性が高いのです。


実際に熊本地震の時は、耐震等級3の認定を受けた住宅の多くが無被害で、残りも軽微な被害にとどまりました。これなら被災後も自宅で生活でき、再建費用もかかりません。また、地震を心配する必要がないので、普段から安心して暮らすことができます。



・住宅ローンの金利が優遇される

耐震等級3の家を建てると、住宅ローンの金利が優遇されるケースが多く見られます。たとえば、住宅金融支援機構の【フラット35】Sは、高い性能を持つ住宅に適用される金利優遇プランです。耐震等級3の住宅でも利用でき、通常の【フラット35】に比べると、金利が0.25%~0.5%も下がります。



・地震保険の割引率が高くなる

地震保険は、耐震等級に応じて保険料の割引が受けられます。割引率は、耐震等級1が10%、耐震等級2が30%、そして耐震等級3は50%です。現行の建築基準法を守っているなら、最低でも10%の割引が受けられるわけですが、耐震等級3ならその5倍も割引されます。


そして、住宅ローンの返済も地震保険料も、長期間にわたって支払う必要があるコストです。これらがお得になれば、最終的には大幅な節約ができ、耐震等級3の取得にかかった費用も回収することができます。



このように、耐震等級3の建物には多くのメリットがあり、決して「意味ない」わけではないことがわかります。巨大地震にも耐えて住み続けられるのはもちろん、住宅ローンの金利優遇や地震保険の割引率アップなど、コスト面のメリットも大きいのが魅力です。


「数百年に一度」のはずの巨大地震が、平成の間だけでも何度も襲ってきた以上、「次」がいつ来ても不思議ではありません。将来の地震被害に備え、家を建てる時は耐震等級3を取得するのがおすすめです。

また1981年頃は筋交いがなかったり、釘だけで設置されている住宅もよくあり、近年はないと思われていますが、私が現場に出るにあたってそのような住宅を見つけるケースもあります。

もちろんその際には、家の構造に詳しい工務店に相談し、耐震性能とその他の機能デザインを両立させた家を作りましょう。


Booker’s Homeでは、住宅の新築やさまざまなリフォーム・リノベーションに対応しております。現場を知り尽くした大工が打ち合わせの段階から参加し、お客様のご要望を最大限に反映させた提案ができるのが強みです。


工務店ならではの自由設計により、地震に強くその他の機能・デザインも優れた、世界に1つだけの住宅を実現します。新築工事や耐震工事をご検討の際は、Booker’s Homeまでお気軽にご相談ください。